普通人として 高校期

やっとイジメから脱出して、高校生になった。 中の上レベルの男子校。僕は高校生活のはじめから、 普通の人として暮らそうと考えていた。それは人間不信からであったし、 イジメの恐怖からでもあった。 ところが入学早々、危険人物&ホモ扱いである。

理由その1 なぜか僕の出身中学は「むちゃくちゃ荒れていた」という ウワサになっていた。
理由その2 一番最初に仲良くなった人に「若ハゲちゃんって犯罪者みたいな顔してるよw」 と言われた。つまりは危険人物の顔だ。よっぽどヴァイスみたいな反骨的な顔をしていたんだろう。 人間に憎悪を抱くようになって、より目つきが似たのかも知れない。
理由その3 同じクラスに、他の中学出身テニス部のOと言う奴がいた。 こいつは初日からクラスを仕切ろうとえばり腐っていた。 図体もでかかったし、結構みんなびびっていた。 僕の部活弁慶ぶりはOも知っていたらしく、しきりに「おい若ハゲ、お前もテニス部はいれよ」 といってきたが、小生が平気な顔で「うるせーな。軟式なんかやってられるかよ」 なんて云っていたのが効いたらしい。その頃から「始めまして若ハゲさん。よろしくお願いします」 なんていう奴まで出てくる始末。せっかく普通の人として高校生活を過ごそうと思ってたのに・・・・・・
ちなみにホモ扱いの理由は、オカマって奴になぜか気に入られたから。そんだけ。

母親は、始めは弁当をつくってくれていたが、面倒くさくなったらしく、 お金に切り替わった。1日300円。 あのね、飲み物なしでカレー食えってか? というか、学食のカレーでさえ280円するし。
しかも僕は、登山部にはいっていて、毎日トレーニング(マラソン)があったため、 どうしても放課後にジュースが飲みたかった。したがって 飯代200円。友達は朝からジュース、昼は学食、5時限目は眠くなるからとコーヒーを吸っていやがる。 それを横目にパン1個とジュース1本の昼飯。そしてマラソンの後に至福のプロテイン一杯。 おかげで貧乏や他人より恵まれていない事には、めっぽう丈夫になりましたとさ。正に貧乏根性だな。

一度だけ、親に飯代を懇願したことがあったが「考えておく」といったっきり。 想えば金には厳しい家庭だった。 小学校のこずかい0円、中学で月500円、高校で2000円。お年玉はお母さん銀行に直行。 ガキの使いより非道いな。。。

雑魚ども

始めはいろいろあったが、結局ごく普通の人としておとなしく生活していた。 しかしどういう訳か、小生はいじめっ子と言う奴等に狙われる運命にあるらしい。

MとNというクラスの2トップがいた。休み時間も授業中も騒いでいて、 弱気な奴をパシリにしていたりもした。典型的なクラスの中心人物という奴だ。
小生はもうこの頃から脳が劣化しはじめていたのだろう。下駄箱のロッカーに ナンバー式のカギをかけていたのだが、ある日の帰り、カギの番号を忘れてしまって苦戦していた。 そこにNが来て「あ? お前なにやってんだよ?」なんてのたまってきた。
「ああ、カギの番号わすれちゃって」
「はぁ? ヴァカじゃねえのテメェ ぶっ殺すよ!?」
僕は言われた瞬間に「やってみろよ。オイ、ぶっ殺すんだろ? 早くしろよN!」 と言い返していた。中学のとき虐められた経験から 「その場で勝たなければダメだ。あとでやり返すは通用しない!」 というのが身にしみていたせいかも知れない。 Nはぶつぶついいながら、回れ右してどこかに行ってしまった。実にあっけなかった。いじめっ子という奴はこんなものかと思った。
翌日、僕のロッカーがボコボコにされていた。友人に聞くとNがやったらしい。 強気になっていた僕はNをどついてやろうと思っていたが、担任に止められてしまった。
いじめっ子の、小生の居ないところでロッカーをへこまして復習を果たすという行為が、 僕に「いじめる奴は雑魚」という気持ちを抱かせたのだとおもう。

また陸上部にUという奴がいて、いつも 運動部の連中とつるんでいた。背も高く、Uが椅子に座っていて、 他の連中が集まってきて話をしているという構図を何度も見た。 きっと部活で幅を効かせていたんだろう。 僕とUは違うクラスで接点もあまり無かったが、何が気に食わないのか、廊下や移動教室などで いちいちチョッカイをかけてきた。ある日、移動教室からかえってくると、 Uが小生の机に伏せて寝ていた。というか明らかに寝ているフリをしていた。 僕はやはりイジメの経験から「ここで引いたらダメだ。始めが肝心だ」と いきなり腹に蹴りを食らわした。まぁ蹴りといっても、DQNになりきれない半端ものだったので、 突っつくような蹴りだった。
で、陸上部で幅をきかせて小生をなめくさってたUはどうしたと思う?  「ご、ゴメン。マジでゴメンね!」と拝むように謝ってきやがった。 笑い話にもならない。むしろ怒りが湧いてきた。 こんな雑魚どもに苛められていた事。雑魚どものくせに 好き勝手に人を苛めている事。雑魚どものくせに、小生の人生と性格を捻じ曲げたことが 余計に腹立たしかった。 「間違いなくいじめっ子は雑魚だ」と確信した。

もちろんクラスメイトに見られていた。普段おとなしかっただけに、よけい危険人物ということになったんだろう。

やはり普通には終わらぬ 高校登山部編

僕は高校で登山部に入った。 理由は、親がとにかく部活に入れと騒いだのと、 弱小部だったからである。弱小なら活発じゃなくて楽だろうと思ったからだ。 しかし顧問のエゴにより毎日トレーニングがあった。(ほとんどの高校登山部はトレーニングしない)  しかも顧問は「5週走れ」と命令するだけでトレーニングに出てこない。 顧問のTには不満がたくさん合ったが、僕はだまっていた。先輩が文句いわないものを、 自分が云うわけにはいかない。 2年生になって部長になってから反抗を開始した。

 反抗その1 山での昼食は基本的にとらないで、ビスケットなどで済ませるのだが、 顧問の「なんかさびしいから」というアフォな理由で、我が登山部は昼飯をとっていた。 僕は胃腸が弱く、飯をくってすぐ動くと腹がいたくなる。1年生にもそういう奴がいた。 「さびしい」なんて理由で昼飯を食わされるのは困るという僕の独断で昼食をビスケットに代えた。
 反抗その2 1年生が飯を飯盒で炊いて、Tにもっていったら「飯が硬い」とか 文句を言い出した。僕は頭に来て「文句があるなら食うな。じゃなけりゃ自分でつくれよ。なぁ!」と わざと顧問のテントまで聞こえるように云ってやった。教師だからって何様だと思ってるんだよ。このときは本当に腹が立った。
 反抗その3 僕の高校の文化祭は、基本的には運動部はなにも出さないが、 顧問のエゴによって登山部は毎年だしていた。しかも1年生が結構はいったからといって 急に張り切りだして、3つも出す(クライミング・登山記録・鍋)とか言い出した。 部員は5人しかいないのに・・・・・・ ヴァカじゃねーの。お前がヤレ!
 反抗その4 登山に行くときは、部員は駅で集合なのだが、顧問のTはいつも遅刻してくる。 それで部員を叱ったりするのだから、本当にふざけた奴だと思っていた。あるとき学校の行事やらなにやらの関係で、 僕とTだけで合宿に行く事になったが、当然Tは遅刻してきた。 僕は頭にきたからTをおいていく事にした。つまり一人で山に行ったわけだな。 山でテントの準備をしていたら、Tが「おお若ハゲ、ひとりで来れるじゃんか」と 平気な顔で言っていた。
 反抗その5 僕が3年生になったとき、2月の合宿で引退すると 顧問とも約束していたし、2年生も承知していた。ところが2月の合宿が 終わると「次の合宿にでて新1年生を指導しろ。出ないなら首だ!」とか言い出したので 「じゃあ止めます」と言ってやった。周りで見ていたクラスメイトがたいそうビックリしていたっけ。
 反抗その6 卒業式でオレを首にした顧問のTが ニコニコしながら「若ハゲ、卒業おめでとう」とか話し掛けてきやがった。 一時の感情で小生を首にしておいて、最後は恩師になろうとするTに腹が立った。 僕はTに面と向かって「お前の顔みてるとムカムカしてくるんだよ! 話し掛けてくんな!」と言ってやった。 こういう善良なフリをする偽善者は、いまでも大嫌いだ。
おかげで最後までぼくは危険人物扱いだった。

偽善教師T番外編

通学につかっている自転車が盗まれた。もちろん学校内でだ。 とりあえず担任に報告したら、顧問のTが「じゃあトレーニングのついでに探しに行こう」 とか言い出した。正直ぼくは(そう簡単に見つかるわけねーよ) と思っていたが、あっさり見つかった。僕の自転車はカサ鍵をつっこまれてY駅に止めてあった。
僕は盗んだ奴をぶん殴ってやろうと想い 「明日までここで見張っている」と言い張った。 おいおい若ハゲ、相手がむちゃくちゃデカイ奴だったらどうするんだ? という 問いにも「棒でも何でももってきてぶん殴る」と突っ張っていたが、結局は説得されてしまった。
それはいい。それはいいんだが、事もあろうにTは、この話を授業中の余興として話しやがった。 まったく僕の立場や恥ずかしさは考えていない。 人の心の分からない奴しか偽善者になれない。Tはイケメンで美人の嫁をもらい社交的な教師だった。 世の中なにかとこういう奴が得するように出来ている。 まるで神様とやらが計算づくで作ったようにな。。。

唯一尊敬できる教師

登山部の福顧問でA先生という人がいた。 この先生は、顔はゴツかったが、おとなしくて優しかったので、生徒に舐められていた。 しかし僕は、登山部としてA先生とともにいる時間が長かったので、 この先生の隠れた部分をよく知る事となった。

部活で僕が1年生のとき、体力不足で歩くのが遅れることがたびたびあった。 Tはさっさと先に行ってしまい。僕にはA先生がついてくれた。 そして「若ハゲ、すこし休んでいくか! T先生にはオレがもたもたしたって云えばいいからさ」 なんて事を当たり前のように云うのである。「オレのせいにしちゃえばいいじゃん。T先生怒るからな」
また前述のとおりスパルタ教育には無縁の先生で、 生徒から舐められていたが、それはケンカもできないような気弱い先生だったからではない。 太っちょにみえるが実は無茶苦茶マッチョで、 勉強重視のスパルタ教師と、教育方針の違いでつかみ合いのケンカをしたことも合った。

男子校なんてものは、怒鳴ったり殴ったりしたほうが仕事しやすいだろうし、 人間誰しも舐められたくない。強いにもかかわらずだまっていたA先生は、 教育や教師という仕事自体に信念があったに違いないと信じている。

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