受験失敗。そして・・・

受験に失敗して

〜18才
 小生は、レベル的には中の上くらいの高校に通っていた。 大学付属の高校だったが、自分がやりたい分野でないので他大を受験した。 獣医学科に進みたかった。 自分の実力も測れずに。
 一浪した。 今考えれば、理系の大学ならどこでもよかったのに、無駄に高いプライドのお陰で 中堅以上の大学しか受けなかった。(というか、獣医学科はむずかしい) 結果、補欠合格に引っかかったが、 辞退者がすくなかったらしく、小生の受験は失敗に終わった。

もう一年勉強する気にはなれなかった。暗記ものが苦手で、怠け者の小生にしては今考えても頑張ったと思う。 同時に、これ以上は頑張れないなと想った。

それからの十代

18〜20才
いままで「学校池、学校池」といってた親の口が、 「おまえは怠けて勉強しなかったから・・・」など等言われつづけるようになる。 世の中は結果しか見ない。勝てば官軍。当たり前の事です。
 たまに会う友人たちは、仕事なり専門なり、小生が浪人して目を悪くしている間に 先に進んでいる。高校の時の知人にあったら、毎日社交的に楽しんでいる模様。 小生はこの世代にありがちな、脱落感を感じていた。
 半ヒッキー時代の突入である。友人と遊ぶ。たまに友人のバイトに誘われる。 漫画を読む。ゴロゴロする。寝る。犬をかまう。ただそれだけ。

無謀な復活

20〜21才
ヒッキーな日々も、当然苦痛になってくる。かといって、 先に進んだ友人たちの跡を付いていく気にはならない。(無駄なプライド) そして何かで一発逆転したいと考える。小生は自分の好きな小説の道に 進もうと思った。
 当時はまだまだ気力があったのだろう。シナリオの学校にかよい、 休日はバイトと、なかなか忙しい日々を送っていた。 しかし、在学中に校正のバイトを一度しただけで、職には就けなかった。 結果が出なかった。
 学校が終了し、行き場所がなくなった。 このままでは、またあのヒッキーの日々に成ってしまう。

シナリオの学校

僕の書くシナリオは、周りにはたいてい不評だった。 つまり「面白くない」「意味がわからない」「何を書いているのか分からない」 といったような感想をいただくわけだ。
教師たちでも評価が分かれることが多かった。 教師達は、技術的なことや形式的なことは指導してくれたが、 書くものの方向性や内容などにはあまり口出ししなかった。 今考えれば、良い先生だったのかもしれない。

僕の書くものを面白がってくれる先生が 「若ハゲ君の書くものは、なんかしりあがり寿みたいだな」といって、マンガ本を もってきてくれた。このときからしりあがり寿のファンになった。 また、もう一人の先生にチェーホフを見せられ、その描写に引き付けられた。 僕がいままで、ドラマやアニメを見ずに過ごしてきた訳がわかったような気がする。
自分の寿命を削って書いたような作品にしか興味がもてないんだなと。 読者を楽しませようとしているエンターテイメントが大嫌いなんだと。

あの先生達はまだシナリオを教えているのだろうか。 そしてなぜか僕の文章のファンだった、変わり者のY君も達者でやっているのだろうか。 シナリオの仕事をしているのだろうか。。。

転落 (死期4)

この頃、一人でテントを担いで日本アルプスに登ることがたびたびあった。 山は疲れるし汗かきまくるし汚れるし、早寝早起きで風呂にも入れないが、 誰も居ない登山道の冷えた空気や、夜の帳がおりたテントの中で一人で居る事に惹かれていたのだろう。

北岳に登ったとき、転落しかけた。 アルプス山系に登った事がある人は分かると思うが、上のほうに行くと、 落ちたら簡単に死ねる。 バランスを崩し、足を滑らせた。荷物をしょっているから、バランスを崩すと元に戻らない。 「あっ」と想ったら、後は頭の中が真っ白。 気が付いたら岩にしがみついていた。焦りや恐怖はまったくなかった。 体がよっぽど無理な動きをしたのだろう。筋肉が痛んだ。

真っ白な意識の中、乾いた土の匂いを嗅ぎながら、 「(オレの人生)終わったかな・・・」なんて考えていた。それは酷く落ち着くにおいだった。

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