カニ2

カニの群れはまだまだ続く。黒服を着た軍隊ガニ。おや、アレは頭から 茶色い葉っぱをたれてるぞ。杖を突いて、自転車に乗って、煙を吐いて・・・・・・
そのとき、一匹のカニが泡を吹いて倒れた。吸い寄せられるように寄り集まるカニたち。喧騒が 大きくなった。カニの輪だ!
そうだよね、助け合いは必要だよね。
けれどもカニの輪は大きくなるばかり。カニ一匹にカニ五十匹。彼らは気づいていない。
やがて日は高く上り、ある一匹の頭を焦がした。また輪ができた。カニ一匹にカニ五十匹。 一と一に、五十と五十。

百と二匹の後ろから、どうにも大きなカニがやってきて、ずんずん進んだ。 一つの輪を蹴散らし、二つ目の輪を踏みにじった。カニは、蹴り散らされて足が取れたり、踏まれて死んだりした。
大きなカニの後ろを、別のカニの群れが続いた。輪を組んでいたカニも群れに加わり、 足を無くしたものも体を引きずり進んだ。
そのときの彼らの表情は「怒」だったか「哀」だったか・・・ 「喜」ではあるまい。ましては―――

NEXT(次項へ)



TOP    著作:若ハゲ
このページは個人的な趣味で作ったページです。 内容、画像等に問題がある場合はメールください。