カニ3

彼らは進む。横道にわざとずれて振り返り、列に連なるカニを見やって、目を震わすやからも居る。 それでも行き着く先は皆同じ。
  ねえ君たち、どこへ行くの?
  海はそっちじゃないよ。
  そう―― 海はもうイヤなんだね。

カニたちは、小さなお山を登ってゆく。お山の上にはサルがいて、 食い飽きたカニをどうするか思案していた。
「ドウスルカナぁ。オモシろイコロシカタ、ナンカナイカナぁ」
そのときお山の頂上に、大きなカニがたどり着いた。大きなカニのまわりには、腹に卵をかかえたメスガニがとりまいていた。 サルは、メスガニを摘み上げ、ノミを潰す要領で、たまごを一つずつ潰しながらぼやいた。
「ドウスルカナぁ」

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TOP    著作:若ハゲ
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