彼らは進む。横道にわざとずれて振り返り、列に連なるカニを見やって、目を震わすやからも居る。
それでも行き着く先は皆同じ。
ねえ君たち、どこへ行くの?
海はそっちじゃないよ。
そう―― 海はもうイヤなんだね。
カニたちは、小さなお山を登ってゆく。お山の上にはサルがいて、
食い飽きたカニをどうするか思案していた。
「ドウスルカナぁ。オモシろイコロシカタ、ナンカナイカナぁ」
そのときお山の頂上に、大きなカニがたどり着いた。大きなカニのまわりには、腹に卵をかかえたメスガニがとりまいていた。
サルは、メスガニを摘み上げ、ノミを潰す要領で、たまごを一つずつ潰しながらぼやいた。
「ドウスルカナぁ」